①在宅での情報共有
この項目では、在宅生活を支援するために家族をはじめ関係する支援スタッフ間での情報共有の方法について具体的な書式も提示しながら各生活期における注意点などを解説します。
在宅生活を基本としながら、生活機能維持や介護家族のレスパイトの目的で複数の医療、福祉、介護サービスを利用する高齢者は今後増加することが予測されます。その状況では各事業所での気づきや他事業所、家族へ伝えるべきことなど、情報共有が非常に重要となります。「地域で在宅ケアを支える」という地域包括ケアシステムを潤滑に機能させるため本手引きを参考にしていただければ幸いです。
各事例で各自が一般(市販)のノートを用いることも多いと思いますが、地域で統一した書式にするメリットもあります。例えば地域によっては同一規格のファイル(サイズ、カバーの色)に共通の記録用紙を綴ることにより、それぞれの施設(医療機関、サービス事業所)でファイルの存在を認識しやすく、また記録記入も容易となっている先行事例もあります。複数の介護サービス、例えば定期でデイサービス、時々ショートステイを利用されている場合は「赤いA4サイズの情報共有ファイル」と家族、各事業所が認識していれば自宅を出るときの準備も、帰ってきたときのサービス利用期間の状態確認もスムーズになります。
身体機能や生活機能、摂食状況や排便状況、外傷や褥瘡の有無、それらの処置方法の統一などは特に重要な情報です。また、医療専門職(医師、看護師、リハビリ専門職など)も積極的に確認、記載するべきだと思われます。通常外来受診時や在宅訪問診療時などの短時間ではイメージすることが難しい本人の日常生活を知るための有用なツールであるし、日頃直接対面して情報を得ることが難しい医師からのメッセージが記載されていることで、各事業所間の情報共有が進み有用性が実感できればさらに記入する際のモチベーションが高まります。そして、レスパイト入院という方であれば、退院時に到達(あるいは維持)するべき身体機能、生活機能の具体的なイメージが湧くことはアプローチの方法を適切に選択するために非常に重要です。
家族にとっては「交換日記」のようなイメージで記載していただけるよう、フォーマットをいくつか示します。現場に合わせて改編の上で使用していただければ幸いです。
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〇在宅における連携ノート 説明とダウンロード