「地域包括ケアシステム」とは、地域住民に対し、保健サービス(健康づくり)、医療サービス及び在宅ケア、リハビリテーション等の介護を含む福祉サービスを、関係者が連携、協力して、地域住民のニーズに応じて一体的、体系的に提供する仕組みです。
すなわち、ソフト(事業)面では、その地域にある保健・医療・介護・福祉の関係者が連携してサービスを提供するものであり、ハード面では、そのために必要な施設が整備され、地域の保健・医療・介護・福祉の資源が連携、統合されて運営されていることです。
「地域包括ケアシステム」の原点は、広島県御調町(現在は尾道市)にある国保病院(現在の公立みつぎ総合病院)にあります。昭和50年代初め、例えば外科手術後にリハビリを受けて退院した患者が、在宅復帰後に寝たきり状態になることを防ぐために「出前医療」(今日の「在宅ケア」)を始めたのがきっかけとなり、昭和59年国保病院に健康管理センターを併設し、御調町の保健と福祉に関する行政部門を病院長の元で一元的に管理運営をするようになり、その後 さらに介護施設、福祉施設等を順次病院に併設して、「地域包括ケアシステム」体制ができあがりました。
現在では、公立みつぎ総合病院を拠点する「地域包括ケアシステム」と同様のシステムが全国に普及してきており、多くの国保直診がその構築と活動強化に取り組んでいます。
地域包括ケアシステムについては、「国民健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針(平成16年7月30日厚生労働省告示第307号)」においても、次のように定義されており、その重要性が示されています。
国民健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針
国民健康保険の保険者が運営する診療施設(注:国保直診を指します)や総合保健施設は、地域における住民のQOLを向上させるため、保健医療の連携及び統合を図る地域包括ケアシステム(地域の保健、医療及び福祉の関係者が連携、協力して、住民のニーズに応じた一体的なサービスを行う仕組みをいう。)の拠点としての役割を担うことができるものであることから、これらの施設を運営する保険者(注:市町村)においては、当該施設との連携を図った保健事業の実施に努めること。
平成18年4月から施行される改正介護保険では「地域包括支援センター」が新たに設置されますが、その役割は、地域包括医療・ケアを推進することにあります。